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いま、知らないと絶対損する年金50問50答 (文春新書) 太田 啓之

2011/06/13
書籍 2
一般国民が知るべき内容が盛りだくさんです。「年金は破綻する。だから自助努力で用意するしか無い」とか言っている人はまず読め。

巷の年金破綻は論点がズレているものが多いこと、国民年金(老齢年金)の役割は「働けなくなったお年寄りの生活を支える」ということを教えてくれます。年金が破綻する、ではなく年金制度が必要かどうか、社会保障としてどういう役割を担っているのかという観点から、現状の仕組みと巷で言われている大した事のない無い問題点と深刻な問題点の切り分け、そして解決策として「どうあるべきか?」を述べています。非常に良い本だと思います。

年金破綻を元に不安を煽って商品を売ったりする人は、共通の敵を作って見方にします。「国が悪い・政治家が悪い。だから我々が道を示す」と行って、顧客を見方にしてしまいます。「国は信用できない」と決めつけている人が多いですが、どの程度信用できないのか? そして目の前に表れた商品を販売する人や画期的な解決策を持ってくる人とどちらを信用するのか? は冷静に考えるべきですね。(それで足りないと思うのなら、その部分を運用でも他商品でも行っていけば良いと思います)

年金の破綻等で困る・払い損になりやすい人は高所得者だと思います。年収500万以下程度(*1)の貧乏人(あえて「貧乏人」と書きました)が、本当の意味で国を頼らずして生きていくのは困難です(というより、ほとんどの人が無理だと思います) ほとんどの一般人はやはり国民年金という社会保障制度に頼らざるを得ないのが現状(というより、自分の自助努力やら能力なんかよりもはるかに信頼性が高い)です。

国民年金については、確かに今のままでは回らないのは確かですが、著書の中で書かれているように「年金の破綻=国の破綻」となると想定されるため、安易に崩壊はしないと思っています。生活基盤として国民年金は必須、なんとしても維持せざるを得ません(厚生年金などの部分はちょっとわからないですが) 年金が破綻する事態において、国がまともに機能しているとは思えません。年金を失ったお年寄りがそのまま餓死するのならまだよいですが、大抵は暴動が起きるかと思っています(まさか、何も行動せず黙々と働く・倒れていくほど奴隷脳でもないのでは?) それを避けるためにも国庫負担を増やしてでも、(少なくとも国民年金は)維持すると思います。

何よりも、現在の年金で弱者・低所得者がどれだけ助かっているか、低所得者ほど知らないというのが悲しいです。国庫負担として1/2が投入されていること(これは所得の高い人からより多く取っています)、所得が低くて免除をしても国民年金の一部が貰える制度があるこどなどを考えると「弱者・低所得者に優しい」制度です。なのに低所得者の方に限って、「年金は破綻するから払わない」と言っている現状は残念です(未納と免除じゃ大違いなのに) また、遺族年金・障害年金について一切考えられていないのも残念です。

個人でFPの勉強をして思ったことなのですが、わかりづらい制度・適切かどうか微妙な制度は多々ありますが、それでも「困った人に対しての救済制度」が数多く存在するのも事実だとわかりました。低所得者・弱者ほど何かしらの救済制度があるのは事実です。コレを無視して「国は悪い」と言うのは良くないです(民主主義である以上、国を作っているのは国民です)

「年金は崩壊するぜ」と言っていれば、なんとなく自分が上に立ったように感じて安心するのでしょうが、年金制度の良い面も捉えて本当に信頼できないのか考えてみるべきだと思います。そして、信頼できないと言って払わない人は、将来困ってから大変だの何だの言わないでくれればそれでよいと思っています。貰える・貰えないの二択ではなく、どの程度なのか? はしっかり考えてみるべきかと。



以下、本の中で気になった部分です。

P78。「政府を信頼しているのか、いないのか」という記述があり、非常に良くわかります。年金を払わず生活が立ち行かなくなったら生活保護... でも、「生活保護は絶対安心」という考えはどこから出てくるんでしょうかね。現状として生存権がある以上「健康で文化的な最低限度の生活」は保障されていますが、こんなもんさじ加減一つでどうにでも解釈できると思っています。4畳半の囚人室・図書室・グラウンドでゲートボールとサッカー・囲碁将棋・給食・TVがあれば十分では?(笑) 押し込めちゃうって手もあります。いざ年金が...がとなったとき、年金を払っている人と生活保護、大幅に格差が出るとも考えられません(年金を払っている多くの国民はこれを許すのでしょうか?)

P86。本当に年金制度が立ちいかなくなったら、まずは報酬比例からのカットになりそうだとのこと。わかります。「生活を支える」制度である以上、最低限より上のほうは多くカットされると思っています。金持ち・有能な人ほど「やってられない」のも事実かと。

P175。年金の運用先を説明しています。年金が株式・債券で運用されていることは余り知られていないようなので、こういったことは押さえておくべきです。特に「株=必ず下がって儲からないギャンブルだ」と言う人は、この事実をしっかり見てください。

P208。年金の運用がマイナスだと「大事な年金を危険資産にさらすな」と言う批判が出るようですね。これは年金というより運用のお話ですが、何を持って危険と言うのかは考えてみた方が良いです。



確かに年金は今のままでは回りません。とはいっても、国を運営する上で社会保障制度は必要ですので、どうすべきかは考える必要があります。この本が正しいかどうか、その通りになるかは個人の思いによるところではありますが、まずは現状の制度を知るために読んで欲しい一冊です。


*1 500万って書いたけど、別に500万の根拠は無いので斜線引いときました。要は一般的に高額所得じゃない給与平均値程度の一般人が、って意味です。
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Comments 2

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堀田忠男

いま、知らないと

いったいこの著者は、本当に年金についての知識があるのか疑問に思う。おそらく厚生省の回し者だろう。現在の積立金が170兆円もあるから絶対に破綻しないと強調しているが----。非常に楽観的に見ても今後30年後には、積立金がゼロになってしまう。いや、過去の厚生省の実績からしても20年後には破綻するだろう。こんなに間抜けな本は、即刻販売中止をするべきだ。

2011/06/18 (Sat) 09:08

PET

Re: いま、知らないと

>堀田忠男さん
コメントありがとうございます。

昨今の商品販売業者もよく「年金破綻するから」と言います。
「破綻」と良く言うのですが、何を持って破綻というのかの定義が曖昧だなぁ、とよく感じます。
現行の給付水準を一切下げず、現行の支払額水準を一切上げないで、
現行維持出来ない事が「破綻」であるのなら、確実に破綻すると思います(既に破綻しています)
記事にも書きましたが、年金の破綻=国の破綻と私は考えています。
正直、弱者に取っては、「破綻するからなんなの? 別の解決策があるの?」とも感じます。

2011/06/18 (Sat) 09:29
PET
Admin: PET
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