資産配分に関するメモ
ちょっと本を読んでて、実際に計算してみたくなったので、まとめてみた。
■命題
ある人間が、
「1年間資産を運用したいが、株は下がるから嫌だ。
最悪のケースが起こっても元本割れしたくない」
という要望が出た場合を考えます。
「元本割れがダメだと、株は×だね」となるかと思いますが、
ちょっとデータを元に考えてみようと思います。
以下、前提・仮定を元に計算していきます。
■資産クラスの仮定
まずは、円預金と日本株式のリスクとリターン情報が必要です。
今回は円預金と日本株式の2資産のみで考えました。債券や海外は無視です。
・円預金:リスク0%、リターン1%と仮定
※ネット定期、年利1%(税引き後)があるとします
・日本株式:リスク22.7%、リターン4.8%と仮定
※年金運用資料から抜粋してみました
http://www.gpif.go.jp/kanri/pdf/kanri03_h20_p04.pdf
■「最悪のケース」はどこまでか?
次に、「最悪」と言うのはどこまでかを仮定する必要があります。
大地震が起こる・北朝鮮が首都圏に向けてテポドン発射・未知の病原体で人口半分...など、
確率の低い事まで想定してたらきりがありません。
ここでは、1年以内に97.7%の確率に収まる範囲の最低ラインを「最悪」と仮定します。
(残りの2.3%のケースは大地震・テポドン発射扱いとする)
※97.7%って言うのは、標準偏差2σをさします(後述)
で、まずはリスクとリターンのおさらいから始めます。
■リスクとは?
その資産が正規分布している場合、σの確率で発生する範囲をさします。
σはバラツキの度合いを表す標準偏差をさします。
正規分布曲線の変曲点でもあります(上に凸から、上に凹の状態になる点)
ちなみに、σ=68.26%、2σ=95.44%、3σ=99.73%です。
※細かいことは統計学の本でも読んでください。
なので、日本株式の場合だと、
「1年の間で68.26%の確率でリスク22.7%の変動がある資産」
と言えます。
俗にいわれているリスクとリターンはこのσの確率を元に表示されています。
今回のケース、2σ(95.44%)を考えると、
「1年の間で95.44%の確率でリスク45.4%(22.7×2で算出可)の変動がある資産」
と言えます。
このうち、値上がりしたケースについてはは最悪とは言わないため(逆に嬉しい)
残りの100%-95.44%=4.56%を半分にし、2.28%≒2.3%。
つまり、2.3%のケースは想定せず(これは大地震or北朝鮮ミサイル発射扱い)
残りの97.7%の範囲で起こりうる最大の損失を考えていきます。
■リターンとは?
その資産が正規分布している場合、あらゆるケースを考えた場合の期待値をさします。
今回、日本株式だとリターンを4.8%と仮定していますが、
これは、景気変動・大地震・またもや日本のバブル...などの可能性も全て考えて
トータルで見た場合に、4.8%だけプラスだよね。と言う話です。
リターンが0%だと「ゼロサムゲーム」となります。
ちなみに、リスクはこの期待値を中心にして考えます。
つまり、先ほど2σのケース(資産が45.4%変動するケース)を考えてみましたが、
これは「4.8%から数えて±45.4%だけ変動する」ってことです。
具体的には、-40.6%(4.8-45.4) ? 50.2%(4.8+45.4)だけ変動するということです。
■リスクとリターンのまとめ
今回、日本株式で2σに収まるケースを考えた場合、以下のような事が言えます。
「1年で、日本株は95.44%の確率で40.6%元本割れするか50.2%の儲けに収まる商品」
「1年で、約2.3%の確率で40.6%以上元本割れする商品」
■実際に計算します
考え方としては、日本株式が「最悪のケース」に陥った場合にも元本割れしなければ良いわけです。
つまるところ、以下の計算をすればいいんです。
日本株式の「最悪のケース」で失う金額 ≧ 円預金の利息
さて、方程式に当てはめましょう。
自分の持っているお金を円預金にx%、日本株式に(1-x)%を振り分けるとします。
最悪の損失は日本株式の「最悪のケース」で言う40.6%の元本割れです。
また、円預金の利息は1%です(リスク0%、リターンが1%なので)
すると、数式は以下のようになります。
(1-x)×40.6% ≧ x×1%
これを解いて行きます。
0.406-0.406x ≧ 0.01x
0.416x ≧ 0.406
x ≧ 97.596
はい出ました。
つまり、
円預金を97.596%以上持っていれば「最悪のケース」が起こっても元本割れしません。
つまり、株式を最大2.404%だけ持っても元本割れしないということになります。
仮に1,000万円を持っていた場合、24万円くらいまでなら株を買っても大丈夫ということです。
(24万円が40.6%元本割れしたときの損失額は97,440円であるのに対し、
利息は1000-24=976万円の1%なので97,600円となりますね。160円の+です)
※現実的にはそのような少額で株式を保有していても...という感じですが。
手数料が割高になるのであまり効率の良い投資とはなりませんし。
■まとめ
今回、諸手数料・税金等は全て省いていますが、
手数料・税金はリターンから差っ引いて計算します。
他の資産が増えた場合は計算が複雑になりますが、考え方は同様。
・それぞれの資産のリスクとリターンを仮定する(未来の話なので一意に決められない)
・最大の損失額を決定する(今回は0円で考えましたが現実的には数割の元本割れを考えると思う)
・どのくらいの発生確率までを考えるか決定する(今回は97.7%の発生確率で考えたが、保守的過ぎ?)
この3つを出すことで理論上、最適なな配分が可能となります。
資産が正規分布しているか?
ということを疑うとまたややこしくなるのでそれはまた別の機会に。
■命題
ある人間が、
「1年間資産を運用したいが、株は下がるから嫌だ。
最悪のケースが起こっても元本割れしたくない」
という要望が出た場合を考えます。
「元本割れがダメだと、株は×だね」となるかと思いますが、
ちょっとデータを元に考えてみようと思います。
以下、前提・仮定を元に計算していきます。
■資産クラスの仮定
まずは、円預金と日本株式のリスクとリターン情報が必要です。
今回は円預金と日本株式の2資産のみで考えました。債券や海外は無視です。
・円預金:リスク0%、リターン1%と仮定
※ネット定期、年利1%(税引き後)があるとします
・日本株式:リスク22.7%、リターン4.8%と仮定
※年金運用資料から抜粋してみました
http://www.gpif.go.jp/kanri/pdf/kanri03_h20_p04.pdf
■「最悪のケース」はどこまでか?
次に、「最悪」と言うのはどこまでかを仮定する必要があります。
大地震が起こる・北朝鮮が首都圏に向けてテポドン発射・未知の病原体で人口半分...など、
確率の低い事まで想定してたらきりがありません。
ここでは、1年以内に97.7%の確率に収まる範囲の最低ラインを「最悪」と仮定します。
(残りの2.3%のケースは大地震・テポドン発射扱いとする)
※97.7%って言うのは、標準偏差2σをさします(後述)
で、まずはリスクとリターンのおさらいから始めます。
■リスクとは?
その資産が正規分布している場合、σの確率で発生する範囲をさします。
σはバラツキの度合いを表す標準偏差をさします。
正規分布曲線の変曲点でもあります(上に凸から、上に凹の状態になる点)
ちなみに、σ=68.26%、2σ=95.44%、3σ=99.73%です。
※細かいことは統計学の本でも読んでください。
なので、日本株式の場合だと、
「1年の間で68.26%の確率でリスク22.7%の変動がある資産」
と言えます。
俗にいわれているリスクとリターンはこのσの確率を元に表示されています。
今回のケース、2σ(95.44%)を考えると、
「1年の間で95.44%の確率でリスク45.4%(22.7×2で算出可)の変動がある資産」
と言えます。
このうち、値上がりしたケースについてはは最悪とは言わないため(逆に嬉しい)
残りの100%-95.44%=4.56%を半分にし、2.28%≒2.3%。
つまり、2.3%のケースは想定せず(これは大地震or北朝鮮ミサイル発射扱い)
残りの97.7%の範囲で起こりうる最大の損失を考えていきます。
■リターンとは?
その資産が正規分布している場合、あらゆるケースを考えた場合の期待値をさします。
今回、日本株式だとリターンを4.8%と仮定していますが、
これは、景気変動・大地震・またもや日本のバブル...などの可能性も全て考えて
トータルで見た場合に、4.8%だけプラスだよね。と言う話です。
リターンが0%だと「ゼロサムゲーム」となります。
ちなみに、リスクはこの期待値を中心にして考えます。
つまり、先ほど2σのケース(資産が45.4%変動するケース)を考えてみましたが、
これは「4.8%から数えて±45.4%だけ変動する」ってことです。
具体的には、-40.6%(4.8-45.4) ? 50.2%(4.8+45.4)だけ変動するということです。
■リスクとリターンのまとめ
今回、日本株式で2σに収まるケースを考えた場合、以下のような事が言えます。
「1年で、日本株は95.44%の確率で40.6%元本割れするか50.2%の儲けに収まる商品」
「1年で、約2.3%の確率で40.6%以上元本割れする商品」
■実際に計算します
考え方としては、日本株式が「最悪のケース」に陥った場合にも元本割れしなければ良いわけです。
つまるところ、以下の計算をすればいいんです。
日本株式の「最悪のケース」で失う金額 ≧ 円預金の利息
さて、方程式に当てはめましょう。
自分の持っているお金を円預金にx%、日本株式に(1-x)%を振り分けるとします。
最悪の損失は日本株式の「最悪のケース」で言う40.6%の元本割れです。
また、円預金の利息は1%です(リスク0%、リターンが1%なので)
すると、数式は以下のようになります。
(1-x)×40.6% ≧ x×1%
これを解いて行きます。
0.406-0.406x ≧ 0.01x
0.416x ≧ 0.406
x ≧ 97.596
はい出ました。
つまり、
円預金を97.596%以上持っていれば「最悪のケース」が起こっても元本割れしません。
つまり、株式を最大2.404%だけ持っても元本割れしないということになります。
仮に1,000万円を持っていた場合、24万円くらいまでなら株を買っても大丈夫ということです。
(24万円が40.6%元本割れしたときの損失額は97,440円であるのに対し、
利息は1000-24=976万円の1%なので97,600円となりますね。160円の+です)
※現実的にはそのような少額で株式を保有していても...という感じですが。
手数料が割高になるのであまり効率の良い投資とはなりませんし。
■まとめ
今回、諸手数料・税金等は全て省いていますが、
手数料・税金はリターンから差っ引いて計算します。
他の資産が増えた場合は計算が複雑になりますが、考え方は同様。
・それぞれの資産のリスクとリターンを仮定する(未来の話なので一意に決められない)
・最大の損失額を決定する(今回は0円で考えましたが現実的には数割の元本割れを考えると思う)
・どのくらいの発生確率までを考えるか決定する(今回は97.7%の発生確率で考えたが、保守的過ぎ?)
この3つを出すことで理論上、最適なな配分が可能となります。
資産が正規分布しているか?
ということを疑うとまたややこしくなるのでそれはまた別の機会に。